本日の講義では、聞き手を意識したプレゼンテーション(以下「プレゼン」)の基本と、実践する上でのポイントや使えるテクニックについてお話します。プレゼンには、「情報提供型」「提案説得型」「感動型」の3種類があります。今回は皆さんが最終報告会で取り組む「提案説得型」に絞って説明します。
プレゼンの目的は「情報を伝え、聞き手にアクションを起こしてもらうこと」です。プレゼンは「ストーリー」「ビジュアル」「デリバリ」という3つの要素で構成されています。
最初の「ストーリー」は、プレゼンの筋書きのことです。誰に、どのような情報を、どのような順番で伝えるのかを考えて組み立てます。ストーリーには2つのパートがあります。ひとつは、現状と問題点や課題、その原因を示す「情報を伝える」パート。もうひとつは、原因を解消するための解決策と、それを実施した場合の想定効果、具体的な実施計画を伝えて「行動を促す」パートです。「根拠」と「主張」によって、相手のアクションを促すのです。さらに、冒頭に自己紹介など信頼関係を構築するパートを加えると、聞き手との距離も縮まります。
ストーリー作成では、最初に骨子を決めることが大切です。誰にどのようなアクションを促すかを明確にした上で、骨子を組み立て、肉付けして、流れを調整します。それがプレゼン資料のアウトラインとなります。ここで注意したいのは、ロジカルなストーリーは説得力があるものの、ロジカルだけでは聞き手の共感は得られないということ。一般論ではなく、「私は」「私たちは」という主語を使い、当事者としての経験や視点を盛り込むことで共感が生まれ、説得力も高まります。。
2つ目は「ビジュアル」です。ビジュアルとなるスライド作成のポイントは「シンプル」に尽きます。スライドはメッセージを伝えるための補助と考え、「1スライド1メッセージ」を基本とし、不要なものは徹底的にそぎ落とします。それによって本質的な論点が明確になり、メッセージがより伝わりやすくなります。
次に、テクニックを紹介しましょう。スライドを作るときは、最初にフォーマット(レイアウトのパターン、色使い、フォントの種類とサイズ)を決めておきます。よくあるフォーマットの例としては、上にキーメッセージを置き、その下にグラフや図、テキストを並べます。人の目線がZ型に動くことを意識したスタイルです。使う色は、同じトーンにするとスッキリまとまります。フォントの種類やサイズは、プレゼン会場の広さを考慮して見やすいものを選びましょう。図形や文字の大きさや位置を揃えるなど、細かな点まで気を配ると、きちんとした印象を与えることができます。グラフはわかりやすさを重視して加工し、チャートや写真も効果的に使いましょう。
最後に、「デリバリ」のポイントです。メッセージを届けるために留意したいのは「話し方、目線、動き」「スライドの操作」「場の設定」「服装」「時間配分」「リハーサル」「質問への対応」。また、私が心がけている7つのルールがあります。①短い文章で話す、②聞き取りやすいスピードで話す、③リズムをつける、④ノイズを作らない(ノイズとは、自分の癖、スライドの過剰な演出など、聞き手にひっかかりを与えてプレゼンを邪魔するもの)、⑤重要なポイントは強調する(声の大きさ、速さ、ジェスチャー等)、⑥聞き手と視線を合わせる、⑦最初と最後は笑顔で、です。そして、プレゼンに臨む際は、事前準備とリハーサルを入念に行いましょう。
プレゼンのコツをつかむと、ロジカルに考えて話すスキル、聞き手の立場で物事を俯瞰してみるスキルなどが身につきます。ぜひ日常生活やビジネスに役立ててください。
タイトル | ふくおか女性いきいき塾⑨ プレゼンテーション |
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開催日時 | 2017年1月21日(土) |