今回は、チームのパフォーマンスを向上させることと、チームメンバーのお互いの成長支援ということに焦点をあてた「チームビルディング」について学びたいと思います。仕事をする上で、女性にはさまざまな理由で業務経験を積む機会が少なく、成長に必要な経験の深さや幅が違うために、なかなか次の選択肢が広がっていかないという現実があります。しかし、限られた経験の中でも、自分自身を成長させる視点や自分の強み弱みを分かっていると、成長のスピードや質が高まります。
私たちは経験から学び、次の成長に変えていくためには、意識して「振り返り」の時間を持ち、経験から学ぶ力を高めることが必要です。コルブという教育学者が提唱した「経験学習モデル」という考え方をご紹介します。何らかの “具体的経験”をした次に、この経験というインプットをこれまでに蓄積された情報と結びつけて意味付ける“省察的観察”を行うかどうかで、経験からの学びの深さが変わります。その経験がなぜうまくいったのか、どこがいつもと違ったのかといった “省察的観察”をすることによって、より深い気づきが得られるからです。さらに、そうした気づきから得た成功要因を他の場面に活かせないかといった「マイセオリー」と呼ばれるアプローチ方法が生まれます。これを“抽象的概念化”といいます。さらにそのマイセオリーを使って“実践的試み”を行い、自論が正しかったかを確認したり、調整したりします。このようなプロセスを習慣化することで、同じ経験をしても学びが多く、自身の成長を意識するので達成感も高まるのです。
自分で意識していない人でも「今回成功した要因のうち、どれが最も重要だったと思う?」といった質問をされることによって、考えを深めたり、整理することができます。周りにそのような良い質問をしてくれる仲間や上司がいると、人は成長できます。これは、子育てでも同じで、お子さんに「どうして今日はうまくいったの?」と聞いてあげるとどんどん伸びていくと思います。うまくいかなかったときは、反省をすること、振り返ることはよくありますが、うまくいったときこそ、振り返ることが成長を促します。人の成長を支援する時には、深い振り返りができるような質問をするなどのサポートを少し意識してみてはいかがでしょうか。では、ここで、実際にゲームという経験を通して、振り返りの練習をやってみましょう。
― 全員で擬似的な体験をするゲームに参加し、振り返りを行いました。 ―
これから皆さんはチームづくりに入っていきますが、チームで活動する際に、頭の隅に入れておいてほしいのが「チームの成熟のプロセス」です。チームを作っていく形成期→混乱しつつ自由にアイデアを出す嵐期→整えていく規範期→決まったことを実行する実行期、とチームの状況はその成熟度によって変わっていきます。チームというのは、いつもうまくいっているわけではありません。嵐期を経ずに、何も波風なく進むと、「実はそう思ってなかった」という意見が後で出てきたり、「表面的なつながりで物足りなかった」となってしまうことがありますので、初期の段階でぶつけ合う、あるいはぶつかり合うというのはとても大切です。ぶつかり合ったチームほど卒塾後すごく仲良くなっていますので、ぶつかり合うことを怖がらずに。その経験がまた皆さんのチームを強くしていきます。
私たちはリーダーシップを考えると、ついつい自分がどうあるべきかだけを考えてしまいますが、チーム活動では、どうやってフォロワーを見つけて、フォローしてもらうのか、あるいは、誰かがリーダーシップを発揮したときに、自分はどうやってフォローしたら、このチームがうまくいくのかなということを考えることも大切です。リーダーシップ、フォロワーシップを発揮する練習をするのが、この課題研究だと思ってください。最初のうちリーダーシップを発揮していた人が、途中からフォロワーになることも多々あります。場面によって役割交代をすることもたくさんあります。むしろ、そういう自分の役割をあえて変えてみて、そしてそれを体験するということも楽しんでほしいと思っています。
タイトル | ふくおか女性いきいき塾⑤ チームビルディング |
---|---|
開催日時 | 2016年9月24日(土) |