ふくおか女性いきいき塾、第2回目の講義は「キャリア形成」。
WE-Net福岡から6名の方をお迎えして、ご自身の経験を交えながら「キャリア形成」についてお話しいただきました。
【WE-Net福岡】
「女性の大活躍推進福岡県会議」の活動の一環として結成された女性管理職のネットワーク。定例会やグループ活動、情報発信などを通して女性活躍推進に取り組む。
・福永涼子さん(写真上から2番目)
株式会社日本政策金融公庫福岡支店 国民生活事業 融資第二課長
・松原佐由美さん(写真上から3番目)
株式会社ふくや マーケティング部 販売促進課 課長/お客様サービス室 室長
・高間和子さん(写真上から4番目)
株式会社アヴァンティ WEB企画・制作部 部長
・岡部麻子さん(写真上から5番目)
有限責任監査法人トーマツ 福岡事務所 シニアマネジャー
・杉本美穂子さん(写真上から6番目)
株式会社日立製作所 九州支社 公共情報システム営業部 部長
モデレーター
・古田 香さん(写真一番下)
株式会社ポータル(九電工グループ)人材部 部長
【古田さん】
今日は5名の管理職の皆さんの経験談を聞いていただき、皆さんのキャリアを考える機会にしていただけばと思います。まず、管理職への昇格につながった出来事や節目を伺います。
【福永さん】私は何の専門性も資格も持たず、エリア職として入社しました。何年までにこれをやりたいという目標はありませんでしたが、結婚、出産後も働き続けたことが1つ目の節目です。そのうちに、当時は男性しか担当していなかった融資の審査をやりたいと思うようになり、「私にもやらせてください。」と申し出たのが2つ目の節目です。異動までに2年かかりましたが、その後は、周りに刺激されてとにかく自分のできることを必死でやってきました。
【松原さん】上司から社員とパートの違いを問われた時、「社員は経営まで行こうと思ったら行ける。会社を変えることができる。でも、残念ながら、うちの会社のパートさんには今はその権利がない。社員はその分、責任があるんだ。」と言われた時に、頑張らなきゃいけない、このままじゃだめだという思いが生まれました。その後、会社の中期経営計画の策定メンバーに選ばたこと、九州アジア経営塾で学んだことが大きな転機になりました。
【古田さん】管理職になって様々な変化があったかと思いますが、環境の変化や心境の変化など具体的に教えていただけますか?
【杉本さん】責任と権限が表裏一体についてきて、自分の言動がチームのカラーを左右してしまうというという点にすごく責任を感じています。私は営業なので、業績によってモチベーションも変化しますが、それがチームに影響するため、モチベーション維持がすごく大変です。
【岡部さん】管理職になった瞬間に、自由になったなと思いました。それまでは仕事を与えられるだけでしたが、今は仕事のスタイルも自分の判断で変えられます。以前から感じていたことですが、男性管理職は女性の部下に過剰な配慮をするため、成長のチャンスや教育が男性に比べて少ない。業務以外にも後進の教育など様々な面で自分らしく取り組んでいます。
【高間さん】後輩の能力を生かすという意識が芽生えた点です。つい最近、プロジェクトのリーダーに後輩の名前が出ました。一瞬、私は寂しかったんです。自分は何をすればいいの?と。でもこれは彼女が伸びるチャンスだし、新しいステージに後輩を上げることで、私は次のステップに行けるのだと思えるようになりました。
【古田さん】仕事を続けてきた中で沢山の壁にぶつかったかと思います。その時、どう考え、どう乗り越えてきましたか?
【福永さん】家事、育児との両立が一番の壁でした。保育園のお迎えや突然の病気などで、思い通りに仕事ができない時は「何で結婚したんだろう。何で子どもを産んだんだろう」と思うこともありました。そこでやっていたことは、小刻みに目標を設定すること。例えば、月曜日に「金曜までにこの仕事ができなければ辞めよう」など、1週間程度の短期目標を設定すると、金曜には「ああ、何だ、もう終わっている、解決している。」という状態になっていることが多い。まちを歩いている時に、次の電柱まで歩こうとか、2本先まで行けるぞというような感覚で乗り越えてきました。また、仕事も家庭も忘れて、ストレス解消できる趣味を持つことも大事だと思います。
【古田さん】管理職となるとどうしても仕事に比重が寄ってしまうかと思いますが、ワークライフバランスはどのように保っていますか?
【松原さん】これは悪いモデルとして聞いていただきたいのですが、最近、体調を壊したことがあって、その時、身近な人から「頑張るのはとてもいいことだし、周りもみんな応援している。ただ、頑張り過ぎることで傷つく人がいることを理解しているかい?」と言われたんですね。私が頑張り過ぎて病気になったことを、周囲の人は「自分がフォローしきれなかった」と受けとめ、心を痛めているかもしれないよと。これを機に、“頑張り過ぎない”ということを心にとどめ、意識的にひと息つく時間を作り、仕事のスタイルを見直すようにしています。
【古田さん】ご自身がキャリア形成の過程で取り組んできたことを踏まえ、後に続く女性たちへのメッセージをお願いします。
【岡部さん】「使われる人」から「選ばれる人」になってほしいと思います。そのためには、自分のランクよりも一つ上の目線を持って仕事をする。課長になりたければ部長の目線で全体を見ると、何をすべきかが明確になり、必ず抜きん出ることができる。私自身もこの言葉を上司からかけられ、今でも心がけています。
【高間さん】自ら主体的に動いてチャンスをつかむこと、そして、いきいき塾のような異業種交流の場に積極的に参加してほしいと思います。私はいきいき塾の2期生ですが、こんな考え方もあるんだ、こんなキャリアの築き方もあるんだと本当に刺激を受けました。社外ネットワークを築き、多様な考え方に触れることは、自分のキャリアを見つめるうえでも重要だと思います。
【杉本さん】“自分がどこで必要とされているか”を意識しながらバランスをとってほしいと思います。私の場合、管理職昇格と育児期が重なったため、育児は義母にも手伝ってもらいました。今は、その義母の介護問題に直面していますが、周りと相談しながら自分の役目を模索している所です。その時々で自分に必要とされていることを見極めながらキャリアを築いてほしいと思います。
【古田さん】私たちは、管理職だからいきいきと輝いているのではなく、いきいきと輝きながら仕事をしていた人が管理職になったのだと思います。日々の仕事にどう向き合うか、その仕事をどう捉えるかによって、キャリア形成は変わってきます。自分がどういう時に充実して、どういう時に挫折したなどをキャリアチャートとして書き留めてみると、学びや発見があると思います。今日が皆さんの自分らしいキャリアを考える機会となれば幸いです。
タイトル | ふくおか女性いきいき塾② キャリア形成 |
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開催日時 | 2016年8月5日(金) |