ふくおか女性いきいき塾の第6回目の講座「男女共同参画」は、京都大学大学院文学研究科教授の伊藤公雄さんをお迎えし、「男女共同参画がなぜ必要なのか?-男女共同参画概論-」と題してご講演いただきました。
はじめに「男女共同参画」という言葉が生まれた背景や、ジェンダーギャップ指数が136ヶ国中105位という日本の現状や、男女平等が進んでいる国ほど経済が安定して成長していることをデータで示しながら説明されました。日本は、女性の参政権の確立は諸外国と比べても早く、労働力に占める女性の割合も1970年頃まではずば抜けて高い国でした。70年代以降、諸外国では女性の人権意識の高まりと、不況に伴い家計を補うために女性の労働参加が増えてきました。しかし、同じ頃、日本では、男性の長時間労働と女性の専業主婦化・パート労働化が進み、その仕組みを社会制度が支え、経済発展を遂げました。90年代までの経済的な成功体験から抜けられず、女性の労働参加、社会進出が進む国際社会の変化に日本は追いついていません。一方、経済成長に伴い、日本社会では様々なひずみが生じています。今後は、男性も女性もワークライフバランスを重視した働き方を進め、ジェンダー平等=男女共同参画を実現した公正な社会を構築するよう日本社会の方向転換が求められていると話されました。
また、少子高齢化が進む今、女性が働いて税金や社会保障や年金を支えていく仕組みや、子どもの安定した成長のためには、社会的に育児を支援しながら老若男女共同の子育ての仕組みが必要であること、町づくり・防災・観光などの面でも、男女共同参画は必要であると述べられました。その中で、日本はもともとイクメン社会だった、江戸後期からという明治の男性の子育て姿に外国人がびっくりしているという記録がたくさん残っているという話には、塾生も驚いたようです。
それから、伊藤先生らしく、男性にとっての男女共同参画にも触れられました。男性にとっても男女共同参画がとても大切であり、今年の男女共同参画白書で示されていたように、世界中の中で幸せ度の低い日本の男性、その一番の理由である長時間労働、子育てをしたくてもできないといった男性の働き方を変えていかなくてならない。また、男女のコミュニケーションの違いについて、男性は用件のみ、女性は共感を求める場合が多く、すれ違いがちとなります。実際のコミュニケーションは、用件を伝えることも共感を求めることも必要です。女性が社会参加を進めるには用件をわかりやすく伝えることが重要ですし、男性たちがいきいきと生活するためには共感のコミュニケーションが求められているのだ、という話に塾生たちは大きくうなずいていました。
最後に、「男と女」という2色刷りの社会を、単色にすることが男女平等社会、ジェンダー平等社会ではなく、それぞれの個性とパワーが性別にかかわりなく発揮できる多色刷りの社会が男女共同参画社会であると締めくくられました。
塾生のアンケートでは、「1970年以前の日本は、海外と比べると働く女性や子育てをする男性が多かったことを初めて知りました」「男女共同参画社会は、個々の個性を理解し尊重し合うことの大切さを表す重要な言葉だと理解しました」といった感想が寄せられ、講義後の振り返りでも、「江戸後期のイクメン社会」のことや「男女のコミュニケーションの違い」、男性にとっても男女共同参画が必要なことなどで話を深めました。
タイトル | 平成26年度ふくおか女性いきいき塾 講座⑥「男女共同参画」 |
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開催日時 | 2014年10月4日(土) |