ふくおか女性いきいき塾・第4回目は「女性の活躍は日本の成長・発展の鍵」と題し、アクロス福岡の国際会議場で公開講座を開催しました。塾生に加えて、企業経営者や管理職、地域の団体で活動している方など一般の方も多く来場され、会場は終始熱気に包まれていました。
海老井悦子福岡県副知事の開会挨拶に続き、基調講演がスタート。シカゴ大学教授の山口一男さんが「ダイバーシティ・女性活躍の推進はなぜ日本社会・日本企業に欠かせないのか?」をテーマに、多様なデータをもとに話を展開されました。欧米において、ダイバーシティが推進されてきた背景や動き、特徴について、わかりやすく解説。一方、日本の現状として、非正規雇用が非常に多く、特に女性に偏っていること、管理職の女性割合が極端に低いため、男女の賃金格差が大きいことなどを指摘されました。「欧米において、ダイバーシティ・マネジメントは、多様な人々の人権やその潜在能力を生かすための、望ましい社会のあり方として法制化、制度化・慣習化されてきました。わが国でも近年、女性活躍推進の意識が高まっているが、単に経済効果を期待する企業戦略として進めるのならば、その成果には限界がある。多様な個人の制約に配慮し、国民により広く社会的機会が開かれた社会の実現にはどんな制度が必要かという根本問題について、国民的合意が生まれることが極めて重要」と語られました。最後に「一人ひとりが潜在能力を発揮できる社会の実現のために経済発展が必要なのであって、経済発展のために人材開発があるべきなのではない」というアマルティヤ・セン(インドの経済学者)の言葉を紹介され、会場中から大きな拍手が巻き起こりました。
続いて、パネルディスカッションへ。パネリストにJR九州ファーストフーズ株式会社代表取締役社長の赤木由美さん、株式会社如水庵代表取締役社長の森洸次郎さん、KDDI株式会社人事部ダイバーシティ推進室長の永島朋子さん、そして山口一男さんを迎え、あすばる館長の村山由香里がコーディネーターを務めました。それぞれ自社の取組から自身の経験や考えまで率直にお話しいただき、活発な意見が交わされました。女性社員が働きやすい職場づくりを進めてきた森さんは「従業員は宝であり家族。一人ひとりの状況に合わせて、柔軟に対応してきた」と発言。JR九州グループ会社で初の女性社長に抜擢された赤木さんは「しっかりやっていれば、誰かが見ていて評価してくれる。やりたいことを発信しよう」とアドバイス。2009年から社内の女性活躍・ダイバーシティ推進に関わってきた永島さんは「女性の活躍には経営トップのコミットメントが重要。女性に限らず育児や介護にかかわる社員をサポートできる仕組みや制度をさらに整えたい」、山口さんは「女性の生き方が社会をつくっていく。最初から諦めないでやりたいことを声に出して、社会を変えていきましょう。」と力を込めて話されました。今後の女性活躍やダイバーシティ推進において、塾生や参加者それぞれが、重要な役割を担っていると感じられたディスカッションとなりました。
タイトル | 講義④「社会経済」 |
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開催日時 | 2013年8月3日(土) |