むなかた元気塾「働き方は私が決める~私らしく暮らそう~」が開講しました。この元気塾は、地域で起業やイベント運営ができるようになることを目標に、企画や広報などを学ぶ講座です。会場は、今話題のひのさと48。ここは、50年ほど前に作られた九州最大級の集合住宅、日の里団地の再生プロジェクトによってつくられた新たなコミュニティーの場です。今回の会場参加の塾生は6名。ハイブリッド形式での講座で、アーカイブ受講も可能となっているため、オンライン受講の塾生がほかに30名ほどいらっしゃるそうです。
開講にあたり、オンラインで参加したあすばるの神﨑智子センター長が挨拶し、その中で元気塾のコンセプトを説明しました。さらに、「男性を教育することは、人間を教育することである。女性を教育することは、国を教育することである」という開発途上国の言葉を紹介し、「これから12月までの元気塾を生かして、皆さんがまちづくりの主役となっていただきたいと思います」とエールを送りました。
続いて、宗像市男女共同参画推進課の田村泰貴課長が挨拶をされました。宗像市は市民や団体と行政が対等な立場でそれぞれの強みを生かしてまちづくりを行う市民協働を施策の柱として様々な取組みを進めているそうです。「むなかた元気塾は、まさに市民協働の取組みそのものだと思っています。この事業が大成功するよう宗像市もしっかりと支援していきます」とお話されました。
講師:中村洋子さん(香蘭女子短期大学保育学科 准教授)
むなかた元気塾では、誰もが暮らしやすいまちを目指し、インクルーシブな社会を考えていく講座を組み立てています。第1回の講座は、「インクルーシブな社会とは?」をテーマにした講義でした。講師の中村さんの専門の保育現場でも最近は、「インクルーシブ保育」を目指すことが主流となっているそうです。最初に、これから塾生が「インクルーシブな社会」を考えるうえで、分かりやすい図を示していただきました。
(出典)Mieux accompagner et inclure les personnes en situation de handicap : un défi, une nécessité 2014
この4つの図を解説し、「今日のテーマでもあるインクルージョン、インクルーシブな社会をつくっていくというときには、この図のイメージを持って考えていただきたいと思います」と述べられました。
また、2016年に福岡県女性海外研修事業「女性研修の翼」の団員として行った、ノルウェー視察研修の事例紹介がありました。高福祉国として知られるノルウェーは、毎年公表されるジェンダー・ギャップ指数でも上位国(2021年は3位)です。その視察の中でも、DV被害者の男性が一時避難するシェルターを運営するNPO団体の視察には衝撃を受けたそうです。ノルウェーでの経験を踏まえ、「弱者は女性や子どもだけ、障がい者だけ、外国人だけと決めつけず、男性のDV被害者のように声にならない声を聴いて、新たな問題を解決していくことがまちづくりには必要だと思います」とお話されました。
さらに、障がいのあるお子さんの子育てから気づいたこと、多様な人たちと一緒に新しい価値を創ることを考え、仲間を集って行った「未来の福岡の運動会」の事例やこれからしようとしているプロジェクトなども紹介。「誰も取り残さず、より多くの人と一緒に考え、まちをつくっていってほしいと思っています」とまとめられました。
講座の最後に、実行委員長の吉武麻子さんから、12月に塾生が運営する講演会のテーマ「インクルーシブなまち」についての考察を深めていってほしいという話があり、塾生とこの元気塾の目標を共有しました。
塾生からは、「漠然としていたインクルーシブという言葉が腑に落ちた」「自分が持っていた無意識の思い込みを知ることができた」などの感想が聞かれました。
次回は、イベントの広報や集客を学ぶ講座で、役割分担ごとのチームに分かれて行う予定です。むなかた元気塾が12月の講演会までの期間、どのように展開していくのか、これから楽しみです。