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【センター長コラム】地域のすばる ①  (2019年3月26日配信)

 さくらんぼの花が終わり、ソメイヨシノが咲き始めました。ユスラウメは満開です。わが家の庭に毎年やってくるウグイスも鳴き始めました。毎年のことですが、まだ「ホーホケキョ」と鳴けずに、「ホーホー」までで腰砕けになったり、「ホーホケコ」と鳴いたりしています。

 

  今日は、条例に関係する地域の話題を2つお届けします。
  1つ目は、「男女共同参画に関する条例」の話題です。
  福岡県には60の市町村があります。この内50の市町村が男女共同参画に関する条例を制定・施行していますが、条例制定を検討していた大木町において、昨年の12月議会で「大木町男女が認め合い社会参画を推進する条例」が可決され、今年4月1日から施行されます。


 男女共同参画社会基本法は、地方公共団体の責務として、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を策定し実施することを義務付けていますが、条例を制定することを課してはいません。しかしながら、条例は、市町村が内外に男女共同参画の取組の姿勢を表明し、施策の策定・実施を必ず行うことを担保するもので、男女共同参画施策の重要な柱となるものです。

 大木町では、4月の施行を前に、条例を町民の皆さんや関係団体に知らせ、さらなる男女共同参画推進に向けての意識を高めていくために、広報紙でのお知らせや制定記念イベントの開催などを行いましたが、中でも、DVD「あるある劇場」の制作は、とても素晴らしい企画だと思います。

 「あるある劇場」は、日常の生活の中で起こっている、固定的な性別役割分担意識に基づく発言や行為を2~3分の寸劇にまとめたものです。料理のできない夫の話、小学校の入学準備で赤のランドセルを選んだ男の子の話、祖父に家事分担を勧める孫娘の話の3本がつくられ、制定記念イベントで披露されました。

 この企画の素晴らしいのは、条例を制定だけに終わらせず、制定をきっかけに町民がより身近に男女共同参画を考える機会をつくったことです。「あるある劇場」は、男女共同参画担当課の職員が、脚本執筆やキャスティング、撮影・編集を行い、役場の職員のみならず、農業委員、自治会の会長、町議会議員、女性団体のメンバーなど、多彩な人たちが出演しています。上映会はとても盛り上がり、出演していない人たちから、次作には是非出演したいという声も聞かれるなど、所期の目的を達成しました。

 この企画は「プロジェクトD(男女共同参画)」と名付けられ、DVDは、「男女が性別にとらわれず活躍できる社会への道のりは遠い。大木町はいま、その実現に向けて大きな一歩を踏み出した。互いに認め合い支え合い、誰もが持てる能力を発揮できる社会をめざし活動は続く」というナレーションで締めくくられています。大木町は、今後、このDVDを、地域の研修などに活用していくそうです。プロジェクトDがますます発展していくことを祈念しています。
 
 次の話題は、「築上町男女共同参画ネット」の活動です。
 築上町男女共同参画ネットは、あすばるを拠点にする「福岡県男女共同参画推進連絡会議(愛称:ふくおかみらいねっと)」の会員団体です。
 築上町は、2006年に築城町と椎田町が合併して誕生した町で、築上町男女共同参画ネットは、合併前に活動していた「築城町男女共同参画会議」を母体に、「椎田女性会議」が加わって2007年に結成され、これまでに、防災や高齢者問題など、さまざまな課題に取り組んできました。2015年3月には、築上町に対して女性消防団の創設を提言し、町は同年12月に、町の消防団員の定数などに関する条例を改正して消防団に女性枠を確保し、女性消防団が誕生しました。

 築上町男女共同参画ネットが現在関心を寄せている課題の1つが、子どもの問題で、このほど、国連NGO/NPO法人子どもの権利条約総合研究所代表で山梨学院大学教授の荒牧重人さんを招いて、「子どもにやさしいまちづくり」を考えるための講演会を開催しました。
 多くの自治体で子育て支援施策は行われていますが、荒牧さんの主張は、「子どもは支援を受ける側であるだけはなく、子ども自身が権利の主体であるという視点を持たなければならない」ということです。荒牧さんは、「子どもは、成長につれてだんだん人間になるのでなく、生まれたときからすでに人間であり、人権を持っている」ということを力説、子どもの権利を守るには、制度的仕組み、つまり、条例、計画、担当部署、予算配分が重要であることを強調しました。

 福岡県内で子どもの権利に関する条例を制定しているのは、筑紫野市、宗像市、志免町、筑前町、川崎町の5つの市町です。今年は国連で子どもの権利条約が採択されて30年、日本が締約国となって25年の節目の年であり、築上町男女共同参画ネットの講演会は、子どもの権利保障のための条例制定の機運醸成にもなるようにと企画されたようです。今後の動向を注視したいと思います。

 さて、「あすばる」の名前は、「明日」と「統ばる(すばる)」を組合せたもので、星々の集合体である「すばる」(プレアデス星団)と同じ語源です。「あすばる」には、福岡県内の自治体や、さまざまな団体が集う拠点という意味が込められていますが、県内には、メンバーの知恵と力を結集して先進的な取り組みをしている団体が数多くあり、まさに、「地域のすばる」と言えます。

 今後、このコーナーで随時、そのような「地域のすばる」をご紹介していきたいと思っています。皆さんのまちの情報をお寄せください。お待ちしています。
 


                                                                                                              (2019.03.26)





 

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